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【お試し体験】探究の問いづくり(コロナ休校編)

 

■ はじめに

 

 探究プロセスの中で最も難しいのは「課題設定」でしょう。筆者は、生徒が自ら設定した課題‥自ら生み出した「問い」‥を起点に探究を進めてこそ【主体的な学び】と呼ぶに値すると、筆者は考えています。

 教師が生徒に行う「発問」ではなく、生徒自身が生み出す「質問」を起点に授業を仕組む手法は『たった一つを変えるだけ』に詳述されていますので、ぜひご一読ください。

 ただ、同書でとりあげられている事例は、私たちにとっては必ずしも身近ではなく、自身が企画や運営を担うべき「探究」に応用できるかどうか、十分にイメージできません。

 その点、今回の「新型コロナウィルスの感染拡大に伴う臨時休校要請」は、日本中の誰も‥生徒・教職員・保護者・地域‥が立場を超えて強烈なインパクトを受け、実感値を共有できる点で特徴的です。そこで、この“事件”を素材に用いて「問い(質問)づくり」を体験できる機会のご提供を思いついた次第です。

 

 

■ 参考例

 

 いきなり「生徒が問いをつくる」といってもピンとこない方が大半でしょう。そこで、筆者が試行した一例をご紹介することにします。以下は、兵庫教育大学大学院 学校教育研究科の授業「開かれた学校づくりの事例と実践演習」- 第9回「地域づくりの核としての学校の事例検討①」にむけ、院生(現職教員)に求めた事前学習です。

 

 

■ 問いづくり

 

以下の文(質問の焦点)を読んで浮かぶ「問い」を、メモ用紙などに、思い浮かぶ限り書き出してください。‥ 下の【質問の焦点】を熟読して「問い」を考え、上の「質問集」にならって記述してください。

 

【質問の焦点】

 新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、2月27日の夕方、安倍首相は「全国すべての小学校・中学校、それに高校などについて、春休みに入るまで臨時休校とするよう要請する」考えを示した。ところが、あまりに唐突感の強い発表だったため、3月2日以後、経済活動や社会機能の部分的な停止が全国各地で発生するのは必定である。すなわち「ウィルスの蔓延阻止と経済活動や社会機能の維持を両立すること」が地域課題として全ての地域で顕在化すると予測される。そこで、課題解決の担い手として視野に入ってくるのが、臨時休校に伴って地域に解放される高校生である。そして、高校が生徒に「学習に対する自立性」や「地域に対する当事者性」を丁寧に育んできた地域では、「ウィルスの蔓延を防止しつつ、経済活動や社会機能の低下を最小限に食い止めることができる」可能性が高いと期待される。
 

② 以下の注意事項をご一読の上、①のうち 最も重要と思う質問を3つ[こちらのフォーム]に入力してください。

  • 入力結果は 回答者全員分につき スプレッドシートで広く共有(URLを公開)しますので、個人情報は入力しないでください。
  • 入力結果は 筆者(浦崎太郎)の論文や書籍等に使用させていただきます。
  • 入力結果に係る著作権は筆者に譲渡し、筆者はこれを無償で使用できるものとします。

 

 

■ 「問い」の共有

 

① 回答者全員分の入力結果は[こちらのスプレッドシート]でご覧になれます。

② 入力結果は編集して後日(この投稿への補筆も含めて)発表する予定です。

 

 

■ おわりに

 

 この企画をきっかけとして、生徒による「問いづくり」を起点とする探究が高校や地域に広く普及することを願ってやみません。