不思議なもので、携わるべき用務や出会う事例のテーマが、わりと頻繁に重なります。現在は「カリマネ」や「教科横断的な学び」ですね。
カリマネに関わる校内研修会のご依頼が届いたり、文科省事業でもカリマネの研修会をプロデュースする役目を担うことになったり、予期せず「これだ!」と刺さる実践例に出会ったり・・が短期間に集中しました。
この件、日頃「原理なき方法論の蔓延」に警鐘を鳴らしている立場から、このテーマについては、今は自身に学び直しが求められています。立ち返るのは『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説・総合的な探究の時間編』です。
高等学校学習指導要領(平成 30 年告示)解説「総合的な探究の時間編」
https://www.mext.go.jp/content/1407196_21_1_1_2.pdf
このテーマは、この一冊を読むのが最速です。関連する内容が比較的コンパクトに(といっても百ページ超ですが)記述されていますので。
私もふだん(‥今回もそうですが)「教育改革が必要になった背景/中教審等の経緯/新指導要領の趣旨」だけはキチンと押さえた上で、自身の見解を「この問いに対する答は(必然的に)こうなるはずだ」という形で演繹的に導出しています。
そして、種々の資料は「自身の見解が妥当かどうか?」を高速でチェックするためのツールとして利用しています。
なので、今回『解説・総探編』じっくり読み直してみて、この間「高校と地域の協働」や「探究」界隈の様々な方から頂戴したご質問、あるいは提起された問題の答は、そのほとんどが、丁寧に記述されていることに驚きました。
そして、種々の研修会も「感覚的な質問に感覚的に答える」形ではなくて、『新学習指導要領・解説・総探編』に記述されている内容について、「誰が・どこを・どこまで理解~実践できているのか?」をチェックしていく形で構成する方がよい、と確信しました。
その視点から「スゴイなあ」と思う実践を見直してみると、学習指導要領の深層にまで理解が及んでいる様子、様々な面で行き届いている様子がハッキリ分かります。「大樹深根・良樹細根」ですね。
半面、高校教育改革の潮流や新学習指導要領に関する理解が薄い状態で「地域課題解決学習」を導入したところは、この機会に関連資料を熟読の上、在り方の見直しをお願いしたいところです。
これに該当するのは、具体的には「総学」と「総探」の相違点を明快に説明できない学校です。アップデートせず、学習指導要領に照らして誤ったメッセージを発していると、後続の高校がそのイメージに引きずられ、学びを地域に開く上で阻害要因になります。
また、このたび『新学習指導要領・解説・総探編』を熟読して、哀しみに加えて時に憤りさえ覚えたのは、「学習指導要領や教育課程から外れたところで学校の存在価値を語る」実態です。
そもそも、教育課程を粗末にしてきたから、人材が流出し、地域が衰退し、学校が存亡の危機に立たされたのであって、アクロバット的なアプローチでは、多少の延命はできても、帳消しはできません。
とにかく、学習指導要領や教育課程と真正面から向きあって学校の価値を高め、教育課程の価値を通して学校の価値を語るべきです。
それをふまえた上で「+α」を語るのはよいのですが、土台が希薄な状態で「+α」だけを強調しているとすれば、それは邪道です。高校教育改革に対して貢献にはなっていないどころか、下手をすると害毒でさえあります。
以上、今回ハッキリ分かったのは、種々の問題は「学習指導要領を熟読していない」ことに起因する構図です。ぜひ、早い機会に熟読をお願いしたいと思います。